展覧会
平井 智 陶展
2022年4月2日(土)~ 8日(金)
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会期中無休
【 作家全日在廊予定 】
1947年 兵庫県尼崎市に生まれる
1970年 大阪教育大学中等課程美術学科卒業
1971年 京都市立工業試験所陶磁器研究所卒業
1972~74年 ローマのニーノ・カルーソ氏のアトリエ助手、建築陶芸を学ぶ
1974~76年 国立ファエンツア陶芸美術学校専科に学ぶ、イタリア政府給費留学生として在籍する
1972年 第1回バッサノ国際陶芸シンポジウム招待参加(イタリア)
1973~83年 ファエンツア国際現代陶芸コンペ出展(イタリア)
1978年 グロッタリア国際陶芸展銅賞(イタリア)
1979年 ファエンツア国際現代陶芸コンペ金賞(イタリア)
国際陶芸アカデミー会員となる1981年 ファエンツア市にて制作活動に入る
1981~86年 “新しい陶芸”グループ参加、イタリア各地で巡回展開催、後日本巡回
1982年 ファエンツア国際現代陶芸コンペ銀賞(イタリア)
1983年 アスティ国際ビエンナーレ展銀賞(イタリア)
1986年 ナポリ地方国際陶芸展グランプリ(イタリア)
1991年 Abitare con Arte,Milano銀賞(イタリア)
1992年 Ceramic'92西武つかしん(尼崎)
1992~93年 現代イタリア陶芸展(有田、信楽、土岐)
1995~96年 アーティスト レジデンス(信楽陶芸の森)
1998年 Ceramichevolmente展(伊丹市立クラフトセンター)
1999年 Dialegus展 ニーノ・カルーソと二人展(ローマ、日本文化会館)
2004年 アーティスト レジデンス(瀬戸)
2005年 アーティスト レジデンス展Expo'2005愛知(瀬戸)
2008年 “イタリアの風”2人展(東京イタリア文化会館)
2010年 ファエンツア国際現代陶芸展日本人受賞作家展(東京イタリア文化会館、ギャラリーVoice多治見)
2016年 Made in Japan展(ファエンツア国際陶芸美術館/イタリア)
2019年 姉妹都市40周年記念展(ファエンツア、土岐)
平井智がイタリアに作陶のために移住してもう50年になる。イタリア陶芸界の巨匠ニーノ・カルーソに師事し、ファエンツアでマジョリカの陶芸を学び、いまやイタリアを代表する陶芸家として国際的に活躍する大御所である。
イタリアの伝統的な錫釉陶器であるマジョリカ陶は15世紀以降フィレンツェに近い陶芸都市ファエンツアで盛んとなった。素地に不透明な白い錫釉を掛け、スグラフィートと呼ばれる線刻をおこなう平井の「白シリーズ」はマジョリカの基本的な技法を踏襲し、そこに金彩を施した魅力あふれる作品である。また、明るい色彩で人物図や多様な装飾文様がえがかれ、透明釉が全体に施された作品も多い。同じデザインの作品は全くないといっていいぐらい、多様な文様が次々と描かれ、それらは心が和らぎ、おもわず触れてみたくなるような温かみのあるマジョリカ陶ならではのもので、作家の明るくて人懐っこい性格がそのまま作品にも現れている。
平井の作品にしばしば登場するハート形や女性像はマジョリカ陶に伝統的に使われてきたモチーフで生命や愛、信頼や情熱の象徴でもあるが、今回発表された作品にはハート形に包まれた優しさあふれる女性像が描かれている。ヴィーナス誕生を思わせ、新たな作風へと移ってきている。心の奥底で惹きつけられる作品である。
(出川哲朗/大阪市立東洋陶磁美術館館長)